人事労務管理のポイント…離職票記載内容の補正について


 退職される労働者の方が雇用保険から失業給付を受けるためには、事業主が公共職業安定所(ハローワーク)に
提出した雇用保険被保険者離職証明書をもとに、安定所が交付する離職票(1と2の二種類)が必要になります。

 労働者が退職する場合、事業主は雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書を
管轄のハローワークに提出することになっていますが、この離職証明書は、
1枚目…離職証明書(事業主控)
2枚目…離職証明書(安定所提出用)
3枚目…離職票-2
の3枚複写となっており、受理したハローワークで確認が行われた後に別紙の離職票-1と上記3枚目の離職票-2を
離職者に交付します。

 離職証明書の2枚目(安定所提出用)には、事業主が選んだ離職理由に異議があるかどうかの労働者判断欄があり、
また、離職証明書3枚目の離職票-2にもFとして「離職理由欄」が設けられており、離職者本人が離職理由を
記入できるようになっています。

 この「離職理由」に関しては、事業主と労働者の間での判断や考えの温度差により従来よりトラブルが非常に多く
仮に労働者の方から「一身上の都合による退職届」が会社に提出されている場合であっても、その後ハローワークで
退職した労働者から離職理由に関する異議を申し立てることも珍しくありません。

 会社都合による退職の場合には、失業給付を受けるための7日間の待期期間を経たあとにすぐに支給が
開始されるのですが、自主都合退職の場合には最初の失業給付をもらう前に3ヶ月間の給付制限がかかり、
その間は失業給付をもらえません。
 また、会社が各種助成金をもらうためには、前後6ヶ月間に会社都合による退職者を出していないことが
要件となっている助成金も多く、離職理由に関するトラブルが絶えない背景にはこうした事情が絡んで
いるのかもしれません。
 だからといって、離職証明書に虚偽や事実と違う記載をしていいはずもなく、この場合には雇用保険法による
罰則の対象となります。

 管轄のハローワークから使用者あてに、離職理由欄も含めた離職票に関して確認や修正を求められた場合、
その確認内容が事実と明らかに異なる場合には、「雇用保険被保険者離職票記載内容補正願」
以下の書類を添付のうえハローワークに提出してください。
◆離職証明書の1枚目(事業主控)
◆被保険者資格喪失確認通知書(「雇用保険被保険者資格喪失届」の事業主控)
◆補正すべき理由が確認できる理由書や書類等

 ただし、ハローワークから修正の連絡がきたからといってなんでも補正願を提出する必要はないと考えます。
通常、ハローワークからこうした連絡があるのは、退職した労働者の方が離職理由等に対し異議を申し立てた
時ですが、離職証明書に記載した内容について裏付けるものがあり、不備や誤りがないと事業主が
判断するのであれば、労働者が退職に至った経緯や退職理由、また記載した内容についての根拠などを
文書で示し提出することも必要だと思っています。
 この場合での所定様式はありませんので、事業主名による任意の様式や理由書などの形でハローワークに
提出してください。

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離職票記載内容の補正について

 離職票への記入欄に「離職理由欄」があります。事業主記入欄に加え離職者記入欄もあるため、退職理由を
めぐって労使間でのトラブルとなることが多く見受けられます。
…記載内容が事実と異なるのであれば「雇用保険被保険者離職票記載内容補正願」を提出してください。

東日本大震災に関連する休業手当・労災などへの対応

 大きな被害により、やむを得ない休業措置を取る企業も少なくありません。厚生労働省より発表されたQ&Aから、
休業手当、労災保険などに関する労働基準法等の対応をまとめました。
…数多くの相談事例が労働局からも掲載されておりますので、参考になさってください。

定年退職後に短時間労働者として勤務する際の健康保険や厚生年金

 非常勤勤務や契約社員など短時間労働者の方に社会保険が適用されるかどうかは、1日または1週間の勤務時間や
1ヶ月の勤務日数によって決定されます。
…病気・出産の手当金、将来の年金受給のために社会保険手続は確実に行いたいものです。

退職証明書の証明事項

 労働者の退職、解雇の際のトラブル防止および再就職活動時における使用、雇用証明を目的とするため、退職する
労働者の方から請求があった場合には、使用者は一定の事項を記載した退職証明書を遅滞なく交付しなければなりません。
…請求されていない事項は記入しません。

失業した場合の国民年金保険料の特例免除

 申請する年度または前年度において退職(失業)の事実がある場合には、
本人の前年所得を除外して審査する「失業による保険料の特例免除」の申請をすることができます。
…所得基準の要件が緩和されます。

入社に伴う手続・必要書類

 新たに従業員の方と雇用契約を結ぶ際の手続や提出書類などについて解説しております。
…従業員の安心のために、確実な提出をお願いします。

試用期間中の賃金等

 就業規則あるいは給与規程等に明記されている限り、試用期間中の従業員と本採用後の従業員の方の賃金額に
差を設けることは可能です。
…こちらをご覧ください。

職場の労使慣行にご注意ください。

 労働契約書や就業規則等には明確な規定がないものの、一定の事実、取扱いが相当期間に渡り継続して行われ、
これらが労使双方で当然の職場ルールであると認識されている場合には、立派な職場の規則と判断される場合があります。
…トラブルも多発しています。

所定労働時間の一部分のみ労働した場合の休業補償

 業務災害に遭い被災労働者が休業した場合には労災保険から休業補償が行われますが、その災害発生当日を含む
最初の3日間については、労災保険からの給付はなく事業主に休業補償を支払う義務があります。
…補償額の計算方法に注意してください。

退職後の健康保険について

 退職後の再就職先が社会保険の適用事業所であるために健康保険に加入される方を除いて、退職後の
健康保険加入に関しては、
@親族等が加入している健康保険の被扶養者となる
A国民健康保険に加入する
B任意継続被保険者となる
からの選択が考えられます。
…退職される方にぜひご案内をお願いします。


労務管理に関するご質問をお受けいたします。(ご契約前の相談もお気軽にどうぞ。)

新着情報&更新情報

平成26年3月23日更新しました…年金法改正点
国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
平成23年7月2日…労働・社会保険ニュース
一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
…社会保険手続
標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。
…労働・社会保険ニュース
事業主と同居の親族・家族従業者の方の雇用保険、労災保険への加入について、その基準をまとめました。
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東日本大震災にかかる休業手当・労災保険などへの対応を、厚生労働省発表のQ&Aからまとめました。
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東日本大震災に対処するため特別に施行された、年金に関連する主な法律をまとめました。
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事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままであった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり被保険者期間として認められます。

■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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