社会保険手続…パートさん等の標準報酬月額 定時決定における特例

 健康保険料や厚生年金保険料、また健康保険からの給付や年金は、被保険者の収入や報酬を基に算出されますが、
従業員ごとに給与や各種手当額は違いますし、同じ従業員でも月毎に残業代が違うことも日常的にあり得ますので、
給与担当者の方にとって毎月の給与計算は相当困難な業務になってきます。
 そこで、多くの従業員の方の給与事務を正確に、また迅速に行うため、健康保険・厚生年金保険制度では、
毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分し、その区分ごとに「一定額」として標準報酬月額を定め、
その金額をもとに社会保険料を算出する方法を用いています。

 標準報酬月額は原則的に4月・5月・6月のうち報酬支払基礎日数17日以上ある月に支払われた
報酬を平均して決定しますが、これを「定時決定」といいます。
 この場合、例えば欠勤日数分だけ給料が差し引かれる場合のように、報酬支払基礎日数が17日未満である
月については、その月およびその月に支払われた報酬を除いて標準報酬月額が決定されます。
 そうした月も含めて計算してしまうと、その被保険者の方の実態に即した報酬額が算出されなくなって
しまうからです。
※報酬支払基礎日数とは、標準報酬月額の決定をする際に、報酬を支払う基礎となる日数のことをいいます。
月給者の場合は、原則として出勤日数にかかわらず暦の日数が報酬支払基礎日数となりますが、
日給や時給によって報酬が決められる場合は、出勤日数が報酬支払基礎日数となります。


 パートやアルバイトなど短時間就労者の方については勤務形態上、月に17日未満での勤務状況になる場合もあり、
原則的な計算方法では標準報酬月額を算定できないことがあります。
 そこで、少し条件を緩めるという意味合いで特例的に報酬支払基礎日数が15日以上の月を対象にして
標準報酬月額を算定することになっています。
 この特例により、パートさん等の給与実態に即した健康保険料や厚生年金保険料を算出することが可能となります。

パートさん等の特例的な標準報酬月額算定方法 @ 4、5、6月の3ヶ月のうち報酬支払基礎日数が17日以上の月がある
 場合は、17日以上ある月の報酬月額の平均により算定された額によ
 り、標準報酬月額を決定します。

A 4、5、6月の3ヶ月のうち報酬支払基礎日数がいずれも17日未満の場
 合は、その3ヶ月のうち報酬支払基礎日数が15日以上17日未満の月の
 報酬月額の平均により算定された額により、標準報酬月額を決定します。

B 4、5、6月の3ヶ月のうち報酬支払基礎日数がいずれの月においても15
 日未満の場合は、従前の標準報酬月額をもって当該年度の標準報酬月
 額とします。



標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。

 通常方法による算定方法では著しく不当となる標準報酬月額について保険者が算定しその額を決定します。
…追加された保険者算定対象項目へ

健康保険法上の被扶養者とは?

 新しく入社した従業員に被扶養者がいる場合、または結婚や出産など被扶養者に異動があった場合には、
「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。
…対象者の範囲、認定基準など

パートさん等の標準報酬月額 定時決定における特例

 標準報酬月額を算出する際の定時決定では、原則的に4月・5月・6月のうち報酬支払基礎日数が17日以上の
月を対象に行われますが、短時間就労者の方については特例的に15日以上の月を対象にすることになっています。
…算定基礎届の作成における特例

出産費用の負担軽減のための「直接支払制度」

 妊婦さんやそのご家族が出産費用を支払うためにあらかじめまとまった現金を用意しなくてもいいように、
被保険者やその被扶養者の方に対してではなく、医療機関に対して出産育児一時金を支払う「直接支払制度」が、
平成21年10月より始まっています。
…未対応の医療機関もありますのでご確認ください。

傷病手当金 資格喪失後の給付

 会社を辞め健康保険の被保険者でなくなっても一定の要件を満たしていれば、それまで受給していた
傷病手当金を継続して受けることが出来ます。これを「資格喪失後の継続給付」といいます。
…生活を保障する安心の制度です。


 この他にも社会保険の手続や制度には様々なものがあり、提出する書類も非常に多く、健康保険からの給付の種類も
多岐に及びます。場合によっては障害年金や遺族年金など年金からの給付もあるでしょう。
 人事・総務担当者の方にとっては給与計算と並んで気を使うお仕事ではないでしょうか。

 毎年7月10日までに提出する算定基礎届(健康保険料、厚生年金保険料を算出する元となるもので、4月〜6月に
支給された報酬により標準報酬月額を算定する定時決定)の作成も顧問契約内の一業務として行わせていただきますので、
社会保険手続はぜひ当事務所にお任せください。

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新着情報&更新情報

平成26年3月23日更新しました…年金法改正点
国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
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一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
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■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


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社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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