人事労務管理のポイント…失業した場合の国民年金保険料の特例免除


 1、厚生年金または共済年金に加入されていた方で、退職(失業)された60歳前の方
 2、上記1、の方に扶養されていた配偶者で60歳前の方
は、国民年金の第1号被保険者として国民年金に加入し国民年金保険料を納付する必要がありますが、
申請する年度または前年度において退職(失業)の事実がある場合には、本人の前年所得を除外して審査する
「失業による保険料の特例免除」の申請をすることができます。
 同居の配偶者、世帯主に一定以上の所得がなければ国民年金保険料の納付が免除されます。

 【原則的な保険料免除制度】
 国民年金の保険料免除制度には、原則として、
■法定免除
■申請免除
の2種類があり、それぞれ以下の要件に該当する方は国民年金保険料の納付が免除されます。

(1) 法定免除の対象者…いずれかに該当する方が届け出ることにより保険料が全額免除となります。
1. 障害基礎年金の受給権のある方
2. 1・2級の障害厚生年金または障害共済年金の受給権のある方
3. 生活保護法による生活扶助を受けている方
4. 厚生労働大臣指定の一定の施設に入所している方

(2) 申請免除の対象者…本人、配偶者、世帯主それぞれの前年所得(1〜6月分については前々年)が以下の
  一定の所得基準の範囲内にあることを条件として、申請により保険料の全額または一部の納付が免除されます。

【申請免除の際の所得基準】
全額免除(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3免除78万円+(扶養親族等の数×38万円※)
半額免除118万円+(扶養親族等の数×38万円※)
4分の1免除158万円+(扶養親族等の数×38万円※)
   ※70歳以上の扶養配偶者または70歳以上の扶養親族の場合は48万円
     16歳以上23歳未満の扶養親族の場合は63万円


【失業による保険料の特例免除】
 国民年金の納付は、本人のみならず配偶者および世帯主にも納付義務があるため、申請免除では上記のように
本人、配偶者、世帯主それぞれが基準所得の範囲内にある必要がありますが、「失業による保険料の特例免除」では、
本人の所得を除外して国民年金保険料の免除基準の審査が行われます。

 通常の正規社員ならばほとんどの場合基準所得を超えるものと予想されますが、申請する年度または前年度に
退職(失業)の事実があることを要件として特例免除申請をすることにより、配偶者および世帯主のみの所得で
免除審査が行われ、免除となる可能性が高くなるわけです。
 したがって、配偶者および世帯主に一定の所得があるときは、免除が認められない場合も当然あり得ます。

申請の手続
「国民年金保険料免除申請書」に以下の書類を添えて、住所地の市区町村に提出してください。
1、年金手帳など基礎年金番号が分かる書類
2、退職日または社会保険喪失の確認ができるもの(雇用保険受給資格者証、離職票など)
3、認印(本人が署名する場合は不要ですが、一応お持ちください。)

免除申請の効果
1、免除を受けた期間も納付したものとみなされ、将来の老齢基礎年金額に反映されます。
◆全額免除期間   :2分の1の割合で給付
◆4分の3免除期間 :8分の5の割合で給付
◆半額免除期間   :8分の6の割合で給付
◆4分の1免除期間 :8分の7の割合で給付
※ただし、全額免除以外の場合には、免除された部分以外の保険料額を納付しなければ未納扱いとなり、
 将来の給付には結び付きません。

2、障害基礎年金・遺族基礎年金については納付した方と同じ扱いとなり、
 受給するために必要な期間(受給資格期間)に算入されます。

追納について
 保険料免除を受けた方が将来の老齢基礎年金の受給額を増やすことができるように、免除の適用を受けた
期間の保険料を後から納付することができる追納という制度があり、全額免除、一部免除にかかわらず
10年以内ならさかのぼって納付することができます。
 ただ、免除が承認された期間の翌年度から起算して3年度目以降は、当時の保険料に加算金がついてしまいますので、
再就職などで余裕ができた場合にはなるべく早めに追納なさってください。

 失業による保険料の特例免除については日本年金機構ホームページを参考になさってください。

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離職票記載内容の補正について

 離職票への記入欄に「離職理由欄」があります。事業主記入欄に加え離職者記入欄もあるため、退職理由を
めぐって労使間でのトラブルとなることが多く見受けられます。
…記載内容が事実と異なるのであれば「雇用保険被保険者離職票記載内容補正願」を提出してください。

東日本大震災に関連する休業手当・労災などへの対応

 大きな被害により、やむを得ない休業措置を取る企業も少なくありません。厚生労働省より発表されたQ&Aから、
休業手当、労災保険などに関する労働基準法等の対応をまとめました。
…数多くの相談事例が労働局からも掲載されておりますので、参考になさってください。

定年退職後に短時間労働者として勤務する際の健康保険や厚生年金

 非常勤勤務や契約社員など短時間労働者の方に社会保険が適用されるかどうかは、1日または1週間の勤務時間や
1ヶ月の勤務日数によって決定されます。
…病気・出産の手当金、将来の年金受給のために社会保険手続は確実に行いたいものです。

退職証明書の証明事項

 労働者の退職、解雇の際のトラブル防止および再就職活動時における使用、雇用証明を目的とするため、退職する
労働者の方から請求があった場合には、使用者は一定の事項を記載した退職証明書を遅滞なく交付しなければなりません。
…請求されていない事項は記入しません。

失業した場合の国民年金保険料の特例免除

 申請する年度または前年度において退職(失業)の事実がある場合には、
本人の前年所得を除外して審査する「失業による保険料の特例免除」の申請をすることができます。
…所得基準の要件が緩和されます。

入社に伴う手続・必要書類

 新たに従業員の方と雇用契約を結ぶ際の手続や提出書類などについて解説しております。
…従業員の安心のために、確実な提出をお願いします。

試用期間中の賃金等

 就業規則あるいは給与規程等に明記されている限り、試用期間中の従業員と本採用後の従業員の方の賃金額に
差を設けることは可能です。
…こちらをご覧ください。

職場の労使慣行にご注意ください。

 労働契約書や就業規則等には明確な規定がないものの、一定の事実、取扱いが相当期間に渡り継続して行われ、
これらが労使双方で当然の職場ルールであると認識されている場合には、立派な職場の規則と判断される場合があります。
…トラブルも多発しています。

所定労働時間の一部分のみ労働した場合の休業補償

 業務災害に遭い被災労働者が休業した場合には労災保険から休業補償が行われますが、その災害発生当日を含む
最初の3日間については、労災保険からの給付はなく事業主に休業補償を支払う義務があります。
…補償額の計算方法に注意してください。

退職後の健康保険について

 退職後の再就職先が社会保険の適用事業所であるために健康保険に加入される方を除いて、退職後の
健康保険加入に関しては、
@親族等が加入している健康保険の被扶養者となる
A国民健康保険に加入する
B任意継続被保険者となる
からの選択が考えられます。
…退職される方にぜひご案内をお願いします。


労務管理に関するご質問をお受けいたします。(ご契約前の相談もお気軽にどうぞ。)

新着情報&更新情報

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国民年金の任意加入中の保険料未納期間が合算対象期間に算入されることになります。
平成26年3月14日更新しました…給与計算サポート
今まで適用されていた育児休業期間中にくわえ、産前産後休業期間中も社会保険料が免除されます。
平成26年3月8日更新しました…労働・社会保険ニュース
新しい給料を即時に標準報酬月額に反映させる同日得喪が、60歳以上の継続再雇用者に拡大適用されています。
平成25年4月1日…労働・社会保険ニュース
会社判断が廃止され希望者全員を継続雇用制度の対象とすることが求められています。
平成25年2月28日…健康保険法・国民健康保険等改正点
外来療養、指定訪問看護での医療費についても支払い額が一定の限度額までとなるしくみが始まっています。
平成23年10月25日…人事労務管理のポイント
離職票記載内容が事実と異なる場合には補正願の提出が必要です。
平成23年10月24日…労働者災害補償保険法改正点
石綿による遺族特別給付金の請求期限が延長されました。
平成23年7月2日…労働・社会保険ニュース
一定の要件を満たせば、パートタイマーや派遣社員など有期契約労働者の方も育児休業を取得できます。
…社会保険手続
標準報酬月額の定時決定等において、保険者算定が適用される場面が追加されています。
…労働・社会保険ニュース
事業主と同居の親族・家族従業者の方の雇用保険、労災保険への加入について、その基準をまとめました。
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事業主が雇用保険の被保険者資格取得の届出をしなかったことにより雇用保険に未加入のままであった従業員の方については、一定の要件を満たすことにより2年を超えて過去にさかのぼり被保険者期間として認められます。

■法律改正や保険料率等の改定、その他人事・労務に関する情報を更新していきます。


各法律改正点

社会保険労務士 山田泰則

社会保険労務士 山田泰則 企業と働く方の幸せのために頑張ります。さいたま市、戸田市、川口市、蕨市を中心に活動しております。
経営者の方のみならず、従業員の方や退職された方にとっての身近な相談者であり続けたいと考えています。
どうぞお気軽にお声を掛けてください。


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